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【お酒】2243.鏡花水月 純米吟醸 180ml [20.長野県の酒]

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製造者 岩波酒造合資会社
長野県松本市里山辺5159

清酒
内容量180ml
原材料名 米(国産)、米こうじ(国産米)
精米歩合 59%
アルコール分15語

分類 純米吟醸
原料米 長野県産ひとごこち100%
精米歩合 59%
醸造地 長野県松本市
採水地 長野県松本市
(以上、ラベルより転記)




岩波酒造さんのお酒はこれまでに以下の物をいただいております。
【お酒】239.岩波 アルミカップ
2回目はこちら

今日は、長野県酒類販売(株)さんが手掛ける楽國信州シリーズから、
岩波酒造さんの純米吟醸酒「鏡花水月」をいただきます。
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この「鏡花水月」について、手元にあった文献には面白い記述がありました。
いささか長めですが、引用させていただきます。
 蔵では創業以来、農閑期に新潟から来る出稼ぎ組が酒造りを担っていたが、20年ほど前から減ってきた。この時期、銀行員やコンピューターソフトのプログラマーなど他業種から30代の3人が相次いで入社した。
 その中心が、金融機関を辞め、職人を志した佐田直久さん(51)。醪を搾る「船頭」や、米をふかす「釜屋」を経て、5年前に杜氏を継いだ。
 転職組の若い力は、創業以来「岩波」の銘柄1本でやってきた蔵に新風を吹き込んだ。その象徴が、2003年に立ち上げた新ブランド「鏡花水月」だ。青く澄んだ瓶から、ラベルの意匠まで自分たちで仕上げた。
 当時、「淡麗辛口」の日本酒が流行していたが、佐田さんは「それだけでは面白くない。すっきりとした飲み口の中に、旨味がしっかりのっていないと酒として面白くない」と考えた。低温でじっくり仕込むことで、雑味がなく、キレがある味を志向。搾ったままの本来の味を残すため、無濾過蔵出しにこだわった。活性炭素(炭)による濾過は、雑味を除去して透明感を増してくれるが、半面(ママ)旨味などの長所まで削られてしまうのだ。
 この無濾過が評判を呼び、「鏡花水月」は今や定番の「岩波」に並ぶ存在に育った。(中略)顧客は全国に広がった、数年前には、全日本空輸(ANA)の国際線で機内酒として提供された。」(※1)

以下は、私の推測です。

明治5年(1872年)の創業以来、「岩波」一筋で頑張ってこられた蔵元さんにおかれましては、新ブランドを立ち上げる際にはきっと、ためらいがおありであったことでございましょう。
そして、蔵元さんによる新ブランド創設のご決断に至るまでの間には、われわれ外側の人間からは想像もできないほどの蔵元さんの葛藤と、新たな造り手さんとの間での丁々発止、侃々諤々の議論があったことと推察申し上げます。

結果として、岩波酒造さんは「鏡花水月」を世に送り出すことができ、かつ今日では岩波酒造さんの二大ブランドの一翼を担うようになったわけですよ。

こういう話、いいじゃありませんか!

なお、“活性炭素による濾過”が上記引用に出てまいりましたが、それにつきましてはかつてこちらでまとめておりますので、適宜ご参照ください。


品質表示はこちら。
長野県産の“ひとごこち”を100%使用しているんだってさ。
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“ひとごこち”というお米については、以下の説明がありました。
 1987年長野県農事試験場において,酒造好適米の品種および栽培特性の改善を目標として,「信交酒437号」(白妙錦)を母とし,「信交「444号」(トドロキワセ/愛知26号)を父として人工交配を行い,以後選抜固定を図り,1992年から「信交酒480号」の系統名で生産力および特性検定試験を重ねてきた.1995年種苗登録を行い,長野県食品工業試験場で酒造適性試験を行うとともに,長野県酒造組合による酒造会社での大量醸造試験を続けてきた.その結果,栽培特性,酒造適性とともに良好であったので1998年長野県の奨励品種に採用された.」(※2)
たしかに、「美山錦よりも耐倒伏性,耐冷性は強くて多収。大粒で心白発現率が高い」(※3)ため、栽培特性・酒造適性は良好であるようです。

しかしその反面、「心白が大きく,高精白が困難。」(※3)なんだってさ。
それ故、(※2)の文献では、各県で育成された「精白度60%程度の大量用途向きの安定栽培品種」(※4)のうちの一つであると評されておりましたよ。


話のネタが尽きたところで、いただいてみたいと思います。
純米吟醸ですから、冷蔵庫で冷やしたものをいただきます。

お酒の色は、ごくかすか。
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香りはなし。
含んでも、かすかにフレッシュさを感じる程度。

うまみはやや濃いめ。
米のうまみに厚みを少し感じます。
酒臭さ(ほめ言葉です)もかすかではあるもののわかります。
吟醸酒でありがちな苦みが少しあって、強くはないものの鋭さを感じます。
純米なのにキレはよく、スッと引きました。

酸味はややはっきり。
すっぱさはそれほどでもなく、鋭さも感じません。
でも、酸味自体の深みを少し感じますよ。
スーはなく、ピリもなし。

甘みはひかえめ。
ほとんど感じません。


やや濃醇でちょい苦ちょい深スッキリ旨辛口のおいしいお酒でした。

米のうまみに厚みを少し感じ、かつ酸味の深みもある、飲み応えバッチリのお酒でした。
それなのにキレがよく、後味はスッキリしておりました。
かつ辛口で、キリッと引き締まっていましたよ。
香りではなく、味で勝負する吟醸酒でした。

かなりうまいんじゃないの!
というか、長野県のお酒でこういう辛口でかつキレのよいものって、めずらしいんじゃないかな?
その味わいはあたかも、灘酒の如くでございました。






その鏡花水月と合わせた今日のエサはこちら。


にんじんときゅうり。
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今日は、ごまサラダ。
ごま油とすりごまとを使い、煮切った酢とみりん、淡口しょうゆと昆布だしとで味付けました。
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ごまの風味満載でおいしゅうございました。
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国産の豚ロース肉。
焼いた後の柔らかさが、外国産とは全然ちがいますね。
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しょうが焼き。
濃い味にしたかったので、大分県の甘口醤油と愛知県の赤みそとを合わせて使いました。
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まちがいない!
予想通りのおいしさでした。
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ごちそうさまでした。
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(※1)朝日新聞長野総局編著『信州の日本酒と人』p.126-127(2018.10 川辺書林)
(※2)前重道雅・小林信也編著『最新 日本の酒米と酒造り』p.96(2000.3 養賢堂)
(※3)副島顕子『酒米ハンドブック 改訂版』p.69(2017.7 文一総合出版)
(※4)(※2)p.141
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