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菊正宗樽酒を常温でいただきました。 [キクマサ樽酒]

ぼくはきくまさむねのたるざけをのみたかったので
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きょうはひや(じょうおん)でのみました
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この普通酒の樽酒は、ひや(常温)でいただいてこそ、うまみが際立ちますね。
やや淡めながらもうまみに厚みがあって、しかも押し味を感じますよ。
それに、甘みも弱めながらに出てまいりました。
それでいてキリッと引き締まっていて、飲んだ後の口の中がさっぱりしておりますよ。


そのキクマサ樽酒と合わせた今日のエサは、さんま蒲焼缶。
北野エースで買ったのですが、お値段はなんと321円(税込)!
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ワタクシが学生だった頃は、さんま蒲焼缶は100円くらいで買えたのにね。
当時は米不足で、苦労して入手したタイ米を炊飯器で炊いて、ちょっとクサいタイ米ご飯の上にさんま蒲焼缶を乗せて、うな丼のつもりでかき込んで空腹をしのいでおりましたよ。
それが令和の世の中では、高級缶詰と化してしまったのね。

その高級さんま蒲焼缶は、いつものとおり“さんまざく(うざくの代用食)”でいただきました。
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キクマサもさんまざくも、おいしゅうございましたとさ。

めでたし、めでたし!

〔泡盛〕2.久米島の久米仙 30度 100ml(喜屋武商店) [9947.沖縄県の泡盛]

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製造元 株式会社久米島の久米仙
沖縄県島尻郡久米島町字宇江城2157

琉球泡盛
アルコール分:30度
内容量:100ml
原材料:米こうじ(タイ産米)
(以上、ラベルより転記)




泡盛のことをほとんど知らなかったワタクシでも、“久米島の久米仙”は見聞きしたことがございました。
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それもそのはず。
久米島の久米仙は、県内最大規模の仕込みを行う久米島の酒造所。近代的な設備の工場で年間460万リットルの泡盛を造り出している。」(※1)という、沖縄ではもっとも普及している泡盛の一つなのだそうです。

今日いただくこの“久米島の久米仙”は、こんな箱に詰められておりました。
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箱の表には、“喜屋武商店”の文字が販売者として表示されておりました。
喜屋武商店さんは、沖縄で事業を展開なさっている酒類の卸問屋さんのようですね。
ということは、これは喜屋武商店さんが企画立案なさった商品なのでしょうか?
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箱の中身は、あたかも栄養ドリンクのような瓶でした。
これだったら、仕事中に飲んでもバレないかも。
今だったらみんなマスクしているから、酒臭さもわからないかもね。
試すなよ!
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それでは、いただいてみたいと思います。

まずは生(き)、すなわちストレートでちょっとだけ。
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上立ち香はかすかに甘い香りを感じる程度です。
含むとそれをほんのりと感じます。

黒麹由来と思われる香ばしさがありますが、かなり穏やかです。
米の風味もじんわりと効いておりますよ。
甘みはとてもしっかりしていますね。
苦みや雑味は感じません。
というか、30度もあるのに、アルコールの風味もほとんど感じないくらいです。


ここで、残りを水割り(泡盛:水=5:5)にしてみました。
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苦みがかすかに出るみたいです。
でもそれがやや薄まった黒麹の香ばしさといい感じに合っているようです。
割ったことで、さっぱりした風味になりました。
それでも甘みや米の風味は薄まることなく、しっかりと感じることができましたよ。


久米島の久米仙は、穏やかなのに風味しっかりの、おいしい泡盛でした。

先週いただいた菊之露では独特の風味を感じましたが、この久米島の久米仙にはそれがありませんでした。
むしろ久米島の久米仙は、黒麹の香ばしさと米の風味と甘みとだけをしっかりと感じることができました。

中でも特に効いていたのは、甘みでした。
この甘みは、かつていいちこの日田全麹をいただいたときに感じた甘みに似ておりましたよ。
この甘みこそが、泡盛で用いられている全麹仕込の成果なのでしょうか?






そのおいしい久米島の久米仙と合わせた今日のエサはこちら。

にんじんの残り。
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しいたけの残り。
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にんにく。
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卵2個。
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調味料。
[奥]酒・みりん
[手前]昆布の顆粒だし・高知県産の甘口しょうゆ
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フライパンにオリーブオイルをひいて、
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火は中火。
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にんじん、しいたけ、にんにくを炒めて、
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火が通ったら、調味料を投入し、
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卵を和えて、
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“にんじんしりしり、のようなもの”
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にんじんの甘みにみりんとしょうゆとの甘みが相俟って、おいしゅうございました。
砂糖を入れる作り方もあるみたいですけれど、つまみにするならば入れないほうがいいかも。
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ごちそうさまでした。



(※1)田崎聡『泡盛王国』p.40(2006.8 発行/有限会社食の王国社 発売/丸善(株)出版事業部)

菊正宗樽酒カップを冷やしていただきましたよ~だ! [キクマサ樽酒]

週に一度のキクマサ樽酒カップ。

今日は冷蔵庫で冷やしたものをいただきました。
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つまみはレトルトのハンバーグと、昨日の残りの煮物。
中年独身男性のブログですから、こんな手抜きの日もあります罠。
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冷やすと甘みが引いて、キリッと引き締まるね。
うまみはやや淡めですが、押し味がありますよ。
木香ほんのりで、鼻へ抜けて行きます。

やや淡麗で旨辛口のおいしいお酒でした。
冷酒もいいね。
暑いときの晩酌でさっぱりと飲みたいときは、キクマサ樽酒の冷酒は最適でしょう。
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そういえば、ワタクシに清酒(いわゆる日本酒)の魅力を教えてくれたのは、菊正宗でした。

今を遡ることおよそ15年前。
関西に住んでいたワタクシ。

その当時から徘徊癖があったワタクシは、神戸の街を徘徊したのち、いい感じの立ち飲み店があるとあらかじめ下調べしておいた東海道本線の住吉駅(兵庫県神戸市東灘区)で下車。
そして駅前にあったお目当ての立ち飲み屋へ入ったのでした。

当時は清酒にはまったく興味がなかったのでビールを注文して飲んでいたのですが、カウンターの中をふと見ると、そこには「菊正宗 上撰 本醸造」の瓶が鎮座ましましていらっしゃったのでした。

  「菊正宗か。」
  「“やっぱり俺は、菊正宗”のキクマサか。」
  「おいしいのかな?」

そう思って、興味本位で菊正宗の燗酒を注文したのでした。

一合のぐい呑みで供された燗酒は、出されるや否や、芳醇な香りをフワリと立てて、ワタクシの鼻をくすぐりやがったのよね。
それを口へ運んで一口含むと、お酒の幅のあるうまみが口の中にパッと広がって、しかも香りが鼻へと抜けて行ったのでした。

  「うまいなぁ!」
  「日本酒って、こんなにおいしかったんだ!」

その時ワタクシは、心の底からそう思って、菊正宗の魅力にすっかりはまってしまったのでした。

灘には菊正宗の資料館があり、また菊正宗以外の蔵元さんも少なからずあったことから、ワタクシはそれらへ通うようになりました。
そこで酒造りの歴史や奥の深さを知り、ますます清酒が好きになってしまったのでした。

それ故、もし住吉にあった立ち飲み店で菊正宗に出会っていなかったら、今こうして酒ブログを書いてはいなかったかもしれません。
関西ではよい思い出はほとんどないのですが、菊正宗と出会ったことだけは、私にとって唯一の関西でのよい思い出となったのでした。




でもね、その頃は、まだブログを書こうとは思っていなかったのよね。
酒ブログを書き始めようと決意したのは、とある大恥をかいたから。

菊正宗の魅力にはまってしまってから数年後から、ワタクシはとある女性とお付き合いを始めておりました。

ある日、その女性宅へ、ワタクシは末廣の山廃純米(福島県会津若松市産のお酒)を持参したのでした。
一方でワタクシが菊正宗を好きだと知っていたことから、その女性は菊正宗を用意しておいてくれていたのでした。

女性宅のキッチンでワタクシが包丁を握って食事の準備をしていた際、「キクマサを飲みたいな」と言ったワタクシに対して、その女性はお酒をグラスに注いでくれたのでした。
それを飲んで、ワタクシはとっさに、

  「やっぱりキクマサはうまいな!」

と言い放ってしまったのでした。

そう言い放ったとたん、その女性はワタクシに対して“してやったりの不敵な笑み”を浮かべたのでした。
その顔は、ワタクシのことをバカにしている様子そのもの。
今でも夢に出てくるほどです。

そうです。
もうおわかりでしょう。
その女性が出したのは菊正宗ではなくて、末廣の山廃純米だったのでした。

ものすごく情けなかった。
菊正宗の味は理解していたつもりだったのに、こんな失態を呈するとは。
その女性に対する怒りよりも、自分の舌がいかにいいかげんだったか、恥ずかしいことこの上ない思いでした。

そのときから、ワタクシは決めたのでした。

  お酒の味を正確に唎き分けられるようになろう!

そう心に決めてはみたものの、具体的にどうすればいいかは、まだわからなかったのでした。




その後、私は自分の運命を変える書物に出会ったのでした。
それは、ちくま文庫の『カップ酒スタイル』(いいざわ・たつや著)。

この本は、カップ酒の奥の深さや、カップ酒のいろいろな楽しみ方、そしてなによりも、全国には様々な地酒のカップ酒が存在していることを、ワタクシに教えてくれたのでした。

  「これだ!、オイラが求めていたのは。」
  「様々なカップ酒を飲むことで、お酒の味を正確に唎き分けることができるようになろう!」

『カップ酒スタイル』に感化されて、私はこのブログを書き始めました。
意地悪を平気でするような女性とは手を切って、私は一人で酒の世界へと飛び込んだのでした。
最初は清酒だけをいただいておりましたが、焼酎の魅力にも浸ってしまい、今となっては泡盛にまで手を出す始末。

この先、どうなるかわかりませんが、時間と金と精神とが許すかぎり、書き続けて行きたいと思います。




なーんてね!

一人こそ、気楽で最高だぜ!
誰かと一緒に何かをしようだなんて、絶対にイヤだね!
これからも一人で気の向くままに徘徊して酒を集め、その成果をネタにして書き続けてやるぜ!

【お酒】1996.桂月 金杯 300ml [39.高知県の酒]

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製造者 土佐酒造株式会社
高知県土佐郡土佐町田井418

原材料名:米(国産)・米こうじ(国産米)・醸造アルコール/糖類
アルコール分:15度
内容量:300mL
(以上、ラベルより転記)




土佐酒造さんのお酒は、昨日までに以下のものをいただいております。
1799.桂月 超辛口 特別純米酒 60 300ml
1994.桂月 銀盃 カップ
1995.桂月 銀杯(銀盃?) 300ml 

今日いただくこのお酒は、“金杯”。
昨日の銀杯に対して今日は金杯の小印ですから、かつての級別制度下における一級酒相当のお酒でしょうか?
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キャップには、小印の記載はありませんでした。
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銀杯と同じく、金杯も糖類添加の三増酒
酸味料の表示はありませんでした。
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普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。

お酒の色は、無色透明でした。
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燗をつけると、甘い香りがちょっとだけ立つみたいです。

うまみは淡めです。
やわらかいうまみをふんわりと感じる程度です。
熟成感はなく、酒臭さもありません。
渋みがほんの少しだけあるみたいです。
キレはよく、後味スッキリで透明感を少し感じます。

酸味はひかえめです。
すっぱさはごくわずか。
ちょいスーですが、ピリピリ感はありません。

甘みはややひかえめ。
幅はすこしだけ。
かなりさらりとしております。


淡麗ちょいスースッキリやや甘口のお酒でした。

銀杯よりも淡め。
渋みが穏やかで、キレよくスッキリとしておりました。
甘みもひかえめでした。

銀杯をさらに上品にしたような味わいでした。
でもね、なんか面白くないね。
あたしゃ銀杯のほうが好みでした。






その金杯に合わせた今日のエサはこちら。

豆腐を食べたかったので、
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冷奴でいただきました。
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油揚げの賞味期限が今日までだったので、
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ピーマンとしいたけとともに、
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淡口しょうゆで煮物にしてみましたよ。
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ピーマンは、火を通すととろけて甘くなりますよね。
それが油揚げのうまみと相俟っておいしゅうございました。
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ごちそうさまでした。
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天気予報は外れましたが、そのおかげでいっぱい遊んでいただけました。
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でも遊んでいたら、また寝ちゃったのよね。
よく寝るお年頃になっちゃったみたい。
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(友情出演)

【お酒】1995.桂月 銀杯(銀盃?) 300ml [39.高知県の酒]

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製造者 土佐酒造株式会社
高知県土佐郡土佐町田井418

300mL詰
原材料名:米(国産)・米こうじ(国産米)・醸造アルコール/糖類
アルコール分:15度
(以上、ラベルより転記)




土佐酒造さんのお酒は、昨日までに以下のものをいただいております。
1799.桂月 超辛口 特別純米酒 60 300ml
1994.桂月 銀盃 カップ

昨日いただいたのは“銀盃”でしたが、
今日のは、“銀杯”???
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でもキャップには、“銀盃”と書かれておりましたよ。
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品質表示も、銀盃カップと同じで糖類添加の三増酒酸味料の表示は無し)でした。
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“銀盃”と“銀杯”とは、はたして同じお酒なのでしょうか?
それとも似て非なるものでしょうか?
それを確かめるべく、いただいてみたいと思います。

普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。

お酒の色は、アレレ???
無色透明でしたよ。
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燗をつけると、お酒の甘い香りが少し立ちました。

アレレ???
うまみはやや淡めですよ。
やわらかいうまみそのもので、熟成感も酒臭さも感じません。
軽い渋みが少しあるみたいです。
キレはよいですが、透明感はありません。

アレレ???
酸味はややひかえめです。
すっぱさはかなり弱めですが、効いていることはわかります。
スースー感はなく、ピリピリ感もありません。

アレレ???
甘みはややはっきりでしょう。
幅を感じるものの、さらりとしていてべとつきません。


“銀杯”は、やや淡麗でちょい渋旨やや甘口のおいしいお酒でした。
やわらかいうまみそのもので、ちょい渋が引き締めて、甘みが味わいを和らげているようでした。

アレレ???
銀盃カップとは、ぜんぜんちがう味わいでしたよ!
こっちの“銀杯”のほうが、洗練されていて飲みやすいぜよ!

顧みるに、高知駅の近くにあったのごはんや鉄丸さんでいただいた桂月銀盃の味は、こっちのほうでした。
だったら、銀盃カップの中身って、いったい・・・・。





その“銀杯”に合わせた今日のエサはこちら。


トマトケチャップの残りが少なくなってしまいました。
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新しいものを買ってきたのですが、
(あたしゃケチャップはハインツが好きなのですが、近所にあるスーパーじゃ売っていないのよね)
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となると、
古いものを使い切りたくなっちゃったりなんかしちゃったりして。
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買ってきたのは、豚ロース肉。
今日はケチって、安いアメリカ産を入手いたしました。
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アメリカ産の豚ロース肉は、コショウを振って小麦粉をまぶしておきました。
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アメリカ産豚ロース肉に合わせた野菜は、玉ねぎとしめじ。
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調味料はケチャップのほかに、コショウ、しょうゆ、にんにく(国産)。
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なお、しょうゆは高知県の甘口(と言っても南九州の物ほど甘くはない)を使いました。
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フライパンを中火で加熱して。
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油を引いて、アメリカ産豚ロース肉と野菜、にんにく(国産)を炒めました。
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火が通ったら、手前に寄せて、
空いたスペースで、トマトケチャップとしょうゆを煮詰めました。
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煮詰まったら、からめて完成です。
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こんなん出ましたけど。
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味付けは予想通りのおいしさでしたが・・・・、
アメリカ産豚ロース肉がカッチカチのパッサパサ!
やっぱり肉は、牛も豚も国産に限るね。
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黒猫のダンナには、今日もいっぱい遊んでいただきました。
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天気予報をお伝えいたします。
明日の千葉県は、雨でしょう。
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(友情出演)

【お酒】1994.桂月 銀盃 カップ [39.高知県の酒]

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土佐酒造株式会社
高知県土佐郡土佐町田井418

180ml詰
原材料名 米(国産)・米麹(国産米)・醸造アルコール・糖類
アルコール分15度
(以上、フタより転記)




土佐酒造さんのお酒は、かつて1799.桂月 超辛口 特別純米酒 60 300mlをいただいております。

今日いただくこのお酒は、“銀盃”の小印が付された普通酒でした。
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糖類添加の三増酒。
でも酸味料の表示はありませんでした。
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このカップ酒は、銀座にある高知県のアンテナショップ“まるごと高知”にて入手いたしました。
あたしゃ高知県では2度徘徊しておりますが、こんなカップ酒は影もかたちも見かけませんでしたよ。
1度目はこちら
2度目はこちら
それが東京のどまん中で入手できちゃうだなんて、恐ろしい世の中になったものですわ。


普通酒ですので、今日もぬる燗でいただきます。

お酒の色は少し着いていて、透き通っておりました。
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燗をつけると、甘い香りがちょっとだけ立ちました。

うまみは濃くはないものの、しっかりしています。
熟成感が先に来て、枯れているものの角や粗さはありません。
その次に、やわらかいうまみが続きます。
軽い渋みがちょっとだけあるみたいです。
キレはよく、透明感を少し感じます。

酸味はひかえめです。
すっぱさはほとんど感じません。
ちょいスーですが、ピリピリ感はありません。

甘みははっきりです。
甘みに幅があって、ちょっとべとつくかな。


ちょい枯ちょい渋ちょいスー旨甘口のおいしいお酒でした。

枯れ具合が穏やかで、むしろやわらかいうまみがよくわかりました。
甘いですが、不思議としつこくはないですね。
ちょい渋でしたが、突出することなくいい感じに引き締めておりました。
キレがよく、ちょいスーで透明感がありましたが、これはアル添の効果でしょうか?

淡麗辛口の土佐酒にあって比較的甘口。」(※1)とありましたが、たしかに甘口でした。
でもこれは、どんな家庭料理にも合いそうな味わいでしたよ。
普段の晩酌にちょうどよいのではないでしょうか。

(※1)『吉田類の土佐酒more』p.76(2013.10 高知新聞総合印刷)

【お酒】1993.吉乃川 純米 雪中貯蔵[生詰] カップ [15.新潟県の酒]

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製造者 吉乃川株式会社
新潟県長岡市摂田屋4丁目8番12号

内容量 180ml
原材料名 米(新潟県産)、米こうじ(新潟県産米)
精米歩合 65%
アルコール分 15度
(以上、カップの印刷事項より転記)




どこかの駅のNEWDAYS(JR東日本系列の売店)で見つけた、こちらひさびさの吉乃川。
“ヨシノカワ”じゃないよ。
“ヨシノガワ”だよ!
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これまでに、以下のものをいただいております。
33.吉乃川 おけさカップ
125.吉乃川 越後カップ200
215.芳醇 吉乃川 300ml
451.極上吉乃川 特別純米 300ml
466.極上吉乃川 吟醸 300ml
527.吉乃川 北陸新幹線E7系カップ 純米酒 647.吉乃川 冷や生 300ml
1461.吉乃川 特別純米酒 ひやおろし アルミ缶
1557.吉乃川 春ふわり 本醸造酒

今日いただくこのお酒は、雪中貯蔵の生詰(なまづめ)なんだってさ。
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純米酒ですが、冷やして販売されていたことから、冷蔵庫で冷やしたものをいただきます。

お酒の色は、少し茶色がかっておりました。
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上立ち香はないですね。
含むと、フレッシュな風味をちょっとだけ感じます。

うまみはやや濃いめでしょう。
米のうまみに厚みを感じます。
酒臭さ(ほめ言葉です)もしっかりで、さらに熟成感もあるみたいです。
苦みが少しあって、強くはないものの鋭さを少し感じます。
キレはそれほどでもないみたいです。

酸味はややひかえめ。
すっぱさは弱めです。
スースー感はなく、ピリピリ感もありません。

甘みはひかえめです。
ほとんど感じないくらいです。


ちょい爽快のやや濃醇でちょい枯ちょい苦旨辛口のおいしいお酒でした。

フレッシュな風味と熟成感とが同居していやがんの!
うまみしっかりで、しかも米のうまみに酒臭さ(あくまでもほめ言葉です)、それに熟成感と、複雑な味わいでした。

飲み応えバッチリなのに、爽やかさもある、面白くておいしいお酒でした。
これは夏酒だね!
暑い日に、うなぎの蒲焼をつまみながらいただいたら、きっと最高でしょうよ!

【お酒】1992.金凰司牡丹 本醸造 ほろよいカップ [39.高知県の酒]

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製造者 司牡丹酒造株式会社
高知県高岡郡佐川町甲1299番地

原材料名 米(国産)、米こうじ(国産米)、醸造アルコール
精米歩合70%
アルコール分15度以上16度未満
内容量180ml
(以上、ラベルより転記)




司牡丹酒造さんのお酒は、これまでに以下のものをいただいております。
283.金凰司牡丹 ほろよいカップ2回目はこちら
482.純米 超辛口 船中八策 180ml
908.司牡丹 美稲(よしね) 純米酒 生貯蔵酒 300ml
1728.司牡丹 純米酒 AMAOTO 180ml
1792.土佐司牡丹 ほろよいカップ
1793.土佐司牡丹 180ml
1798.司牡丹 辛口本醸造 土佐のこうち 300ml
1990.司牡丹 吟醸酒 180ml

上記のとおり、283.金凰司牡丹 ほろよいカップは既出です。
ですが今回いただくこのカップには、新たに“本醸造”の文字が付されておりました。
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金凰司牡丹は、瓶詰めのものには従来から本醸造の文字が表示されておりました。
ですがなぜか不思議なことに、ほろよいカップには長らくのあいだ、本醸造である旨の表示がなかったのでした。
ですが今回高知県を訪問した際に、ほろよいカップにも本醸造の文字が付されていることを発見し、入手することを決めたのでした。
品質表示が変われば別カウントとさせていただくのがこのブログのルールですので、新規のお酒として心していただきたいと思います。

本醸造の文字は追加されたものの、その他の品質表示は従前のままでした。
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本醸造ですので、今日もぬる燗でいただきます。

お酒の色は、ほとんどわからない程度でした。
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燗をつけると、酒臭い(ほめ言葉です)香りがふわりとたってまいりました。

うまみは濃くはないものの、しっかりしています。
香りとは逆に、やわらかいうまみに厚みを感じます。
酒臭さ(あくまでもほめ言葉です)もかなり弱めながらに効いているようです。
軽い苦みがほんの少しだけあるみたいです。
キレはよく、スッと引いて行きますね。

酸味はややひかえめかな。
すっぱさはわかるものの、弱めです。
ちょいスーですが、ピリピリ感はありません。

甘みはひかえめです。
ゼロではないものの、かなり弱めです。


ちょいスースッキリ旨辛口のおいしいお酒でした。

濃くはないもののうまみに厚みがあって、飲み応えを感じました。
それでいてキレがよく、ちょいスーで後味はスッキリしておりました。
辛口でしたが角や粗さはなく、甘くないお酒でした。

これは魚に限らず、いろいろな料理に合いそうな味でしょうね。

菊正宗樽酒カップを“冷や(常温)”でいただきました。 [キクマサ樽酒]

菊正宗さんからいただいた、樽酒カップ。
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今日は冷や(常温)でいただきましたよ。
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木香ふんわり。

うまみはやや淡めながらにしっかりで、厚みがあって押し味(「酒を飲込んだ後,(中略)あと味にごく味があってしっかりした感じの場合」(※1))を感じますよ。

酸味は、すっぱくはないものの深みを少し感じます。
またやや辛口ながらも、甘みの存在もわかります。
それでいてキレがよく、後味はスッキリしております。

やっぱり菊正宗樽酒(普通酒)は、冷や(常温)が一番うまいね!
冷酒よりも燗よりも、うまみが一番しっかりていているように思いますよ。
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ただし、何度も言うようですが、かつて本醸造だった頃の、それも全量生酛化する以前の本醸造にあったうまみの幅や深み、それになんとも言えないよい香りが、あたしゃ懐かしいかぎりでございます。
なにせその時のキクマサ上撰本醸造こそが、ワタクシを清酒の世界へ誘った張本人なのですから。


その菊正宗樽酒カップと合わせた今日のエサはこちら。

みょうが、きゅうり、ねぎを使って、
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“山形のだし”を作って、
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豆腐にかけていただきました。
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おいしい山形のだしの味を、キクマサがより一層引き立ててくれましたとさ。
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(※1)灘酒研究会編『改訂 灘の酒 用語集』p.269(1997.10 灘酒研究会)

〔泡盛〕1.菊之露 100ml [9947.沖縄県の泡盛]

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菊之露酒造株式会社
沖縄県宮古島市平良字西仲宗根392-2

琉球泡盛
アルコール分30%
内容量100ml
原材料 米こうじ(タイ産米)
(以上、ラベルより転記)




とうとう“泡盛”に手を出してしまいました。
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はじめての泡盛は、菊之露酒造さんの“菊之露(きくのつゆ)”。
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なんでも、「宮古島繁華街、平良市の真ん中西里大通りにある菊之露酒造は、県内シェア2位を誇る蔵元で、幅広い層に人気がある。」(※1)のだとか。
そして今日いただくこの30度の菊之露は、「適度な濃度とまろやかな風味のベストマッチがたまらない。泡盛初心者にもオススメ。」(※2)なのだそうです。
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ところで・・・・・、

フッフッフッ。

ここからは、
ワタクシの自己満足の境地
皆さまをご案内いたしますよ。



















泡盛は、沖縄県で造られているお酒です。
ではその泡盛は、いったいどんなお酒なのでしょうか?
ここでは、法令上の定義とともに、泡盛の歴史について簡単に触れてみたいと思います。



1.法令上の定義


法令上は、下記要件に該当するお酒が泡盛であるとされております。

単式蒸留焼酎」(酒税法3条5号ロ)のうち、「米こうじ黒こうじ菌を用いたものに限る。)及びを原料として発酵させたアルコール含有物を単式蒸留機(酒税法第三条第十号イに規定する単式蒸留機をいう。以下この条において同じ。)により蒸留したもの(水以外の物品を加えたものを除く。)(酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律施行令1条1項、8条の3第1項2号、4項、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律施行規則11条の5表中)

この条文から、以下のことがわかります。

(1)単式蒸留焼酎の一種であること
(2)原材料は米麹と水だけであること
(3)こうじには、黒こうじ菌を用いること

これらについて、それぞれの意味を調べてみました。


(1)単式蒸留焼酎の一種であること

単式蒸留焼酎とは、単式蒸留機で蒸留した焼酎です。
すなわち、蒸留のたびごとに新たに発酵醪など蒸留しようとする溶液を入れ、蒸留が終了したら蒸留残液を排出する方式の蒸留機。(※3)を用いて蒸留した焼酎ということです。
これに対するものとして、連続式蒸留機(「発酵醪を連続的に供給し、生じる蒸留残液も連続的に取り除く方式の蒸留機」(※4))で製造する焼酎(いわゆる甲類焼酎・ホワイトリカー)がありますが、泡盛の製造には後者の方式は採用することはできないわけです。

要するに、蒸留の方法はいわゆる本格焼酎(乙類焼酎)と同じであるということが言えます。


(2)原材料は米麹と水だけであること

米麹と水だけということは、米以外の原材料を用いることができないのみならず、
原料にする米の全部に麹カビをつけて米麹にしなければならないということです。

今日いただくこの菊之露の品質表示も、原材料は“米こうじ(タイ産米)”のみです。
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本格焼酎(乙類焼酎)の場合は、米麹(大部分がこれ)や麦麹(大分麦焼酎など)、あるいは芋麹(鹿児島県で使用例あり)などと水とで一次もろみを造り、酵母が繁殖したところへ主原料(米・芋・麦・その他)を入れて二次もろみを造り、その時に投入される主原料の種類に応じて米焼酎、芋焼酎、麦焼酎などに分類されます。
これは一次もろみで黒麴菌or白麴菌が出すクエン酸でpHを下げて雑菌が繁殖しにくい酸性の環境を作るとともに、酵母を繁殖させておいて主原料を投入した際にアルコール発酵を一気に進めるためと言われております。

一方で泡盛は、原料となる米の全てに麴カビをつけて麹にし、かつそれを一回の仕込みで水と共に全量投入してもろみを発酵させるのだそうです。
泡盛の場合は原料全部がこうじであるから、もろみのpHも低くなり段仕込をしなくとも安全に醸造できるのである。」(※5)との記述にあるとおり、そもそも麹以外の原料を用いないことから段仕込にする必要がないのでしょう。
もろみのpHが低くなる要因については、後述(3)で触れております。

なお、今日では、泡盛の醸造には主にタイ米が用いられているようです。
古くは地元産の米を使用していたそうですが、「明治二〇年代以降大正期にかけて、米価の高騰など要因もありながら、酒造業界はしだいに中国やベトナム、シャムの外国砕米に大きく依存していく状況が窺える。そうした中で、種々の米を試した結果、タイ米が泡盛に一番適した米であることが判明し、昭和以降に定着したようである。その理由として、タイ米は麴やモロミの工程で温度の管理がしやすいこと、麹として扱うにもサラサラして作業がしやすいこと、さらにはアルコールの収量が多いことなどがあったといわれる。」(※6)のだとか。
日本米よりもタイ米のほうが米麹にするには適していることは、かつてこちらで紹介しております。

しかし、法令上は必ずしもタイ米を使わなければならないわけではなく、「一般的に泡盛に使用する米の主流がタイ米というだけで、タイ米ではなくても大丈夫です。国産米や、島米(しまごめ)と言われる沖縄県産米を使った泡盛も製造されています。」(※7)とのことでした。


(3)こうじには、黒こうじ菌を用いること

黒麹菌については、かつてこちらで触れております。
今日においては黒麹菌は九州で本格焼酎の製造にも用いられておりますが、それは明治の末期に当時税務技官だった河内源一郎氏が沖縄から九州へ持ち込んで本格焼酎の製造へ導入を促進したことによって普及したものでした。
また戦後になって、河内氏によって黒麹菌の中から変異株の白麹菌が発見され、今日ではその白麹菌が九州における本格焼酎の製造に用いられる麹カビの主流となっております。

しかし泡盛の製造には白麹菌は用いることができず、沖縄にて古くから用いられている黒麹菌を使わなければならないと規定されております。

では、泡盛製造では、なぜ古くから黒麹が用いられてきたのでしょうか?
それは黒麹菌を用いた醸造が沖縄の環境に最適であったからこその結果であると言えます。
このことについては、文献には以下の記述がありました。

 さて、黒麹菌の大きな特徴は、黄麹菌(清酒の醸造や、黒麴菌が伝わる前に九州の焼酎醸造で用いられていた麹カビ:ブログ筆者追記)よりも生澱粉の分解力が非常に強いといわれ、またレモンのような酸っぱさの元になるクエン酸をたくさんつくり出す点にある。クエン酸はモロミの雑菌の繁殖を抑制する働きがある。泡盛や焼酎は製造過程において絶えず外界から雑菌が侵入する機会があるので、その対策は重要な要件である。
 沖縄の年間の平均気温は二二・四℃である。一番暑い夏の七~八月の平均気温はほぼ二八℃、一番温度の下がる冬の一~二月でもほぼ十六℃と暖かく、年間の平均湿度は七六%と高い。こうした温暖な気候の沖縄ではモロミが早く腐敗する可能性がある。酸の多い黒麹で仕込まれたモロミは他の雑菌が繁殖しにくくなり、暖地の沖縄に適した麹菌なのだ。」(※8)

 黒麹菌の特異な作用のメカニズムは、仕込みの際、容器と水と米麹を入れると、麹中からクエン酸が溶出してきて酸度が20~25mlとなり、pH(水素イオン指数)も3・2~3・3という強い酸性状態を示します。
 ところが、自然界に生息していて空気中を浮遊している有害な腐敗菌は、pHが4・0以下になると増殖が困難となり、生育できません。しかし、焼酎用酵母はそんな低いpH領域でも、純粋、健強に生育することができる特性をもつので、雑菌侵入の心配もなく、アルコール発酵を営む焼酎酵母だけを純粋に発酵させることができるのです。」(※9)

本土における清酒の醸造は造りに適した寒冷期に集中して造る“寒造り”に収斂されていきました。
一方で沖縄では、年間を通して温暖な気候であるにもかかわらず、黒麹菌を用いることで一年中製造することができたのだそうです。



2.なんで“泡盛(あわもり)”って言うの?


泡盛(あわもり)という名称の由来については、諸説あるようです。
これらのうち、容器に注いだ際の泡でアルコール度数を図っていたことに由来するという説が有力であるようです。
このことについて、文献には以下の記述がありました。

 ちなみに泡盛の語源にはいくつかの説がある。泡盛の原料が粟であったとする原料起源説、蒸留したては泡が盛り上がり、容器に注いだ際に生じる泡を見て酒の度合を判断するという泡由来説、影響力の強かった薩摩が九州の焼酎と区別するために泡盛と名付けたという薩摩説、梵語で酒を意味するアワムリからきた梵語説等である。現在は、粟を使わない地域でも伝統的にアワモリの呼称があることや、琉球王国と交流があった中国西南部および東南アジアでも「泡を盛る」技法が散見されることから「泡」由来説が穏当とされている。」(※10)



3.泡盛の歴史


(3-1)いつ伝わったか

泡盛は沖縄で独自に発明されたのではなく、琉球王国が14世紀~16世紀ごろに中国や東南アジアと盛んに交易をしており、その過程で蒸留酒の製法が伝来したことに起源があるとのことでした。
このことについて、文献に以下のような記述がありました。

 蒸留機は紀元前3000年に西アジア今のイラク付近で発明されたといわれています。西アジアで発明された蒸留の技術は,13世紀にはインドを経て中国に伝わり,さらに南下してシャム(現在のタイ王国)に伝わったとされています。
 14世紀から16世紀にかけて,琉球国は貿易立国を掲げ,東南アジアの国々と盛んに交易をしておりました。特に,シャムとの交易は頻繁であったといわれております。その頃私たちの祖先はシャムから蒸留酒とその製造技術を持ち帰り,それを琉球の気候と風土にあった沖縄独特の製法に改良し,1470年頃に現在の琉球泡盛の原型ができたといわれております。」(※11)

上記の文献(※11)では、シャム(現在のタイ王国)から琉球へ伝来したという説を採用しておりますが、一方では中国から伝来したという説もあるようです。

泡盛には500年以上の歴史があるという。それは遥か昔(14世紀)察度王の時,琉球ははじめて明に朝貢し、琉球王国形成への道を歩み始めることとなった。そして,中国に明政府が建立された際の冊封制度(1372年)に付随して1420年からシャム(現在のタイ)との貿易が正式に始まり,シャムから輸入された蒸留酒「ラオ・ロン」が南ルートで渡ってきたことや,最近では中国福建省の「露酒」(ルチュウ)が泡盛のルーツではともいわれている。」(※12)

さらには、泡盛の起源は一つではなく、琉球王国による多方面との交易の成果であるとする説もあるようです。
これによれば、泡盛は交易の相手国だった様々な国からもたらされた酒や技術の集大成として泡盛が沖縄で花開いたということになるでしょう。

 だが、十五世紀当時における琉球の交易相手国はシャム王国のみだったわけではなく、マラッカ・スマトラ・ジャワ・安南(ベトナム)など東南アジア各国と交易を行っていた。
(中略)
 琉球王国はシャムに限らず、東南アジア方面の蒸留酒を入手していた可能性がある。したがって、タイのラオ・ロン起源説は、むしろ広く「東南アジアルート」として考えるのが妥当だろう。」(※13)
 琉球と中国は公式には一三七二年以来進貢・冊封関係にあり、歴史的に交流が深い国だったことはいうまでもない。とくに福建省の泉州や福州には琉球館が所在し、歴史的交流の拠点だったところである。福建省の蒸留酒に関心が払われなかったのはどのような理由によるものか不明であるが、研究史の上では致命的なことであった。
 既述のように一五三四年に来琉した陳侃はシャム伝来の蒸留酒を振る舞われ、その造り方は中国の露酒(蒸留酒)と同じだったと記している。一五六二年の冊封使・郭汝霖(かくじょりん)も陳侃の記録を踏襲して、似たような手記を残している。しかし、その後冊封使の記録からはシャムと蒸留酒に関する記録は全くみえなくなる。まさしくこの時期は、琉球とシャムの交易が途絶えた時期(一五七〇年)と符合している。つまり、接待用の南蛮酒が東南アジア方面から入手できなくなったことを示しているのである。こうした中で、地酒としての泡盛がしだいに磨かれていくことになると思われる。」(※14)
泡盛の伝来を考える場合、東南アジアルートとともに、常に中国の福建ルートも射程におかないわけにはいかないのである。
 なにも酒だけに限ったことではないが、様々なもののルーツを考える場合、単一的・一方向的に伝来を考えることは慎まなければならない。人間の交流は多面的かつ重層的であり、両方向的なこともある。泡盛の伝来も歴史的な展開を考えあわせると、東南アジアからの蒸留酒の舶来とともに、中国の福建省を経由しての蒸留酒の舶来が十分に予想されるのであり、こうした多面的な交流の中で生成されてきたことを忘れてはならないだろう。」(※15)


(3-2)どんなお酒だったのか?

いまでこそ、沖縄へ行けばだれでも気軽に飲むことができる泡盛。

しかしもともとは琉球王家の許可を得て製造・上納されていた貴重なもので、庶民が手を出すことはけっしてかなわなかったのだそうです。
このことについて、文献に以下のような記述がありました。

 琉球王府時代、泡盛の製造は首里三箇(しゅりさんか)と呼ばれる3町の焼酎職にのみ許され、王家の御用酒をつくる傍ら営業を行っていた。原料は王家から下賜され、それからできる一定量の泡盛を上納していた。
 米9斗に対し泡盛4斗を上納したというから、トンあたり収量300~400リットル、泡盛の度数を40%として計算すると、できた泡盛の50~70%を上納していたことになる。残りが製造人のものになる。
 もし、ごまかしがあれば家財没収、あるいは島流しになり、焼酎職という製造免許を持たずに密造するものがあれば斬刑に処せられたので、泡盛造りは命がけの作業だった。
 泡盛は王府の貴重な献上品であり、また焼酎職が営業用に回す泡盛も当然高価な酒になる。とても庶民が気軽に飲める代物ではない。」(※16)

では、琉球王朝時代の庶民は、いったいどのような酒を飲んでいたのでしょうか?
それはなんと、“芋焼酎(芋酒)”だったのだとか。
このことについて、手書きの古い文献には以下のような記述がありました。

一旦芋酒ノ醸造ガ本県二行ハレテカラハ泡盛ニ求メ得ザル味・香ト原料ヲ安価ニ得ラルル事ト、醸造方法ノ簡便ナルコトナドわうシテ(原文ママ)久シカラズシテ本酒ハ全国ヲ風靡シテシマッタ.芋酒ヨリ古ク本県ニ製造サレテヰタ泡盛ヲ圧倒スルノ観ガアッタ.カクシテ、芋酒ハ維新逅ハ芋酒ハ本県ノ日常酒精飲料トシテノ唯一ノ権威者トナツテヰタノデアル。泡盛ガ上流階級一部人士ノ飲料デアレバ、芋酒ハ中流以下殆ンド全般庶民ノ飲料トナツテヰタ。」(※17)

しかしその芋焼酎(芋酒)は自家醸造であったため、明治になって酒税法が制定されて自家醸造が禁止されてからは次第にすたれていったのだそうです。

斯クノ如ク上下一般ニ広ク愛好サレテ来タ酒モ明治四十一年一月県内消費ノ酒ニモ一様ニ酒税法ノ適用ヲ見ル様ニナツタ結果自由醸造ハ厳禁セラレ農家所有ノ蒸留器ハ全部撤去サレテシマツタ。當町官吏ガ各戸ニ厳密ニ点検シ器具ノ凡ベテヲ没収或ハ破壊シタ為メニ今デハ芋酒ハ勿論之ニ用ヒラレタ器具ノ片影ダニモ見ル事ガ出来ナイ。
 カクシテ永年ノ間沖縄一般ニ常用サレテ居タ芋酒ハ全ク廃滅シテ終ヘタノデアル。」(※18)

このことについて、ある文献では沖縄の芋焼酎とは異なり、薩摩の芋焼酎が壊滅することはなかった。琉球芋焼酎の廃滅は、沖縄に正当な酒、泡盛があったことによる悲劇といえるかもしれない。(※19)と評しておりました。
察するに、明治に入って琉球王家の支配が解けたことで泡盛製造の制約が解禁され、“焼酎”としての免許があれば泡盛を自由かつ簡単に製造できることになったが故に、自家醸造だった芋焼酎(芋酒)は密造酒として製造が禁止されて衰退していったのでしょうね。

でも近年になって、この芋焼酎(芋酒:イムゲー)を復活させた例があるみたいですね。
そのイムゲーを紹介するネタは、いつか来るであろうイムゲーをいただく機会までとっておきたいと思います。























あー、気が済んだ気が済んだ!



お待たせいたしました。
それではこの菊之露、いただいてみたいと思います。

まずは生(き)、すなわちストレートでちょっとだけ。
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香りがするよ!
盃に注ぐと、香木のような重厚な香りが立ってまりましたよ。

30度ですから、けっこうピリリ。
風味のベースは米でしょうけれど、香木のような香りとともに、黒麹のかび臭いような香ばしさが満載です!
甘みもしっかりしております。


次は、水割りでいただこうと思います。
というのも、文献に以下のような記述があったから。

 個人的な感覚ではありますが,泡盛の一般酒を味わう際には,ぜひ水割りを試して欲しいと思います。
 飲んだことのない方にとっては“きつい”“くさい”酒である印象もあるようですが,アルコール度数40度近くあるのですから,ストレートでは刺激が強く感じられます。しかしながら,泡盛は全麹仕込みの濃醇なお酒です。水を足すことで,伸びのある味わいが感じられると思います。」(※20)
30度のもので酒5:水5の割合で割るのが一般的な飲み方とされています。」(※21)

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割っても香りや風味はしっかりしておりますよ。
米の風味とともに香ばしさが満載で、香りもそれに続きます。
割ったことでさっぱりしておりますが、甘みはわかります。
苦みがちょっとだけ出るかな。


泡盛は、米の風味とともに、独特で重厚な香りと黒麹の香ばしさとが満載のおいしいお酒でした。

これ、面白いね!
九州の焼酎よりも香りが豊かで、黒麹の香ばしさがガツンと来るのね。
しかもそれらが、飲み終わった後も喉の奥の方に残っていて、こうして記事を書いている今も感じるのよね。
それが泡盛をいただく際の楽しみなのかもしれません。
ただ、それ故に、お湯割りにすると、ちょっと飲みにくいかもね。

それにこのことは、得てしてクセや飲みにくさのように感じてしまうかもしれません。
ましてや飲み過ぎて二日酔いになってしまったら、きっと最悪の事態を招くことでしょう。

これはなんか、ハマってしまいそうな予感がいたしますよ。
今年は沖縄へ行こうかな?


(※1)田崎聡『泡盛王国』p.80(2006.8 発行/有限会社食の王国社 発売/丸善(株)出版事業部)
(※2)(※1)p.173
(※3)菅間誠之助編著『焼酎の事典』p.159(照屋比呂子執筆部分 1985.9 三省堂)
(※4)(※3)p.160
(※5)西谷尚道『泡盛醸造の特徴』p.1147(日本醸造協会雑誌 66巻12号p.1145-1149中 1971.12)
(※6)萩尾俊章『泡盛の文化史〈新装改訂版〉』p.61(2016.1 有限会社ボーダーインク)
(※7)ファンファーレ・ジャパン編集部編『泡盛マイスターの編集長と酒好きにすすめたい泡盛の香り』p.64(2018.8 有限会社ボーダーインク)
(※8)(※6)p.48-49
(※9)佐久本武『特集2 楽しい酒 泡盛』p.59(食と健康 47巻12号(通号564) p.54-61中 2003.12 日本食品衛生協会)
(※10)長谷川清『沖縄の泡盛産業』p.146(松蔭大学紀要 13巻 2010.3 松蔭大学)
(※11)饒平名卓『泡盛談義』p.25(輸入食糧協議会報 通号612 p.25-30中 1999.9 輸入食糧協議会事務局)
(※12)杵鞭充治『琉球の香り,泡盛』p.31(香料 233号 p.31-39中 2007.3 日本香料協会)
(※13)(※6)p.30
(※14)(※6)p.30-31
(※15)(※6)p.39
(※16)鮫島吉廣『焼酎の履歴書』p.178(2020.6 イカロス出版)
(※17)田中愛穂『調査研究 琉球泡盛ニ就イテ-焼酎麴の原点-』p.559-561(限定復刻版 1978.8 ㈱出版ビジネス永田社)
(※18)(※17)p.569
(※19)(※16)p.181
(※20)玉村隆子『泡盛の魅力 -その味と香り-』p.30(香料 255号 p.21-30中 2012.9 日本香料協会)
(※21)(※11)p.28